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渡邉 憲夫
日本原子力学会和文論文誌, 3(4), p.396 - 406, 2004/12
米国原子力規制委員会は、原子力発電所で発生した事故・故障事例の中から炉心損傷に至る可能性のある事象を同定するために、確率論的安全評価手法を用いた前兆事象評価(ASP評価)を行っており、これまでに、数多くのリスク上重要な事象を特定している。ASP評価の結果には、原子力発電所に対してリスク上重要な知見を導出したり、原子力発電所におけるリスクのトレンドを監視するための有用な情報が含まれている。本研究では、ASP評価結果をもとに、前兆事象の発生頻度と年間炉心損傷確率という2つの定量的なリスク指標を用いて、そのトレンドを分析した。その結果、米国における原子力発電所のリスクは減少傾向にあり、また、リスク上重要な事象の発生頻度も著しく低下していることが明らかとなった。さらに、この分析を通して、原子力発電所におけるリスクのトレンドを定量的に示すことができることを実証し、今後のリスクトレンドを監視するうえで、この2つの指標の有用性を確認することができた。
大越 実
保健物理, 37(3), p.197 - 207, 2002/09
クリアランスは、原子力施設の廃止措置等に伴って発生する放射能レベルの低い廃棄物等を管理するために有効な概念であり、1996年にIAEAによって導入された。原子力安全委員会は、原子炉施設から発生する固体状物質を対象にクリアランスレベルを算出し、1999年と2001年に報告書をとりまとめた。また、ECも、金属,コンクリート,建物及びその他の固体状物質をクリアランスするための指針を作成した。IAEA及び米国NRCは、現在クリアランスレベルの検討を行っているところである。本解説では、国内外におけるクリアランスレベルの検討状況について述べるとともに、クリアランスの概念を理解するための情報及び関連する検討課題について述べる。
渡邉 憲夫; 鈴土 知明
JAERI-Review 98-013, 78 Pages, 1998/09
近年、原子力発電プラントの計測制御系にディジタル技術が導入されつつある。しかし、これに伴い、設計、施工、安全及び許認可に関する新たな問題、特に、ソフトウェアに関する問題も生じている。したがって、原子力発電プラントの安全性を、現在の高いレベルに維持あるいは向上させるためには、規制側並びに産業界は、こうした問題に対処すべく、安全評価の方法や、技術基準、規制指針等の見直しを行うことが必要となる。本報告書では、米国研究協議会が実施した調査研究の結果と、そこで提示された勧告に対する米国原子力規制委員会(USNRC)の見解を紹介する。研究協議会による調査研究では、ディジタル計測制御技術の適用に際しての重要課題として、6つの技術的課題と2つの施策的課題を摘出し、それぞれについて、USNRCがどう対応すべきかを勧告として提示した。これらの勧告についてUSNRCは自らの対応見解を示したが、多く勧告については同意している。